エアライン業界のお仕事

CAの結婚、出産、子育て、そして家庭との両立事情

多くの女性にとって CA は憧れの職業として不動の地位を獲得していますが、だからといって CA が特別な人たちというわけではありません。普通に街を歩いている女性と何ら違いなく結婚する人もいますし、出産、育児をする人も全く珍しくないのです。

かつて家庭は妻が守るものというイメージが強かったため、結婚を機に寿退社をする人も多かったのですが、今は時代が違います。JAL が 3 年連続で「なでしこ銘柄 2017」(経済産業省および東京証券取引所)に選出されているように女性が活躍できる環境整備が進んでいるので、辞めることなく仕事を続けることが当たり前になっています。

しかし、CA というと日本また海外各地を飛び回る職業です。それだけに家事や育児との両立は難しいように感じますが、実際のところはどうなのでしょうか。

妻となりママとなった CA の、家庭と仕事の両立事情です。

エアライン業界に就職するには、何よりも即戦力となるスキルとホスピタリティを身に付けることが大切です。

一生の仕事にしたい!

CA の仕事

今さら言うまでもありませんが、CA の就職は難易度が高いです。毎年航空会社が行っている採用試験には定員をはるかに超える人数が応募をして狭き門となります。女性に人気があるといっても不規則で「CA の仕事は事故とかテロとかあって危険じゃない?」と思われますが、万が一に備えてとても厳しい訓練をしているため、人の役に立ちたい、CA を長く続けたいという思いを持つことは自然なことです。

業務の特性上、妊娠がわかった直後から産休を取ることができます。昔であればその時点で自動的に寿退社というムードが強かったのですが、今は女性中心の職場のためロールモデルが多く存在する環境ですし、本人が希望すれば働き続けることも十分可能です。

先輩方から「辞めてはだめ。子どもに手がかかるのは少しの間よ」と励まされて、妊娠や出産をキャリアの壁にせず、長く働きスキルを継承していくことで会社を盛り立てる立場となっていくのです。

ポイントは、パートナーの職業と理解

CA の職場は飛行機の中ですが、CA には所属の空港が決まっていて、その基地の近くに住む必要があります。夫婦で住んでいる場所が基地に近ければ良いのですが、夫が転勤となれば家族会議が必要になるでしょう。

実際にあった話として、CA の職業を優先するために夫が転職をして空港基地の近く住めるようにしたという話があります。逆に考えると夫の仕事や居住地の折り合いが合わなければそこまでする人もいるということです。このケースでは夫が CA の職業に大きく理解を示してくれたわけですが、CA の仕事を続けながら家庭と両立していくには、パートナーの理解が前提になります。

必要に応じて別居婚という選択肢も

先ほどの例では夫が転職をすることで一緒に生活をしながら CA の仕事ができたわけですが、そうはいかない人もいます。むしろ、そうはいかない人の方が多いでしょう。

その場合、基地の近くに CA をやっている妻が住んで、夫は別のところに住むという別居婚というパターンが一般的です。乗務を終えたその足で夫の元に向かい、家事をこなし出張中の準備を整え、次の乗務の予習をするために家に戻るという日々を送ります。夫にとっては一緒に楽しく生活していた日々が一変し、寂しさから「何のために結婚したのか分からない」と思ってしまうこともあるようで、やはりパートナーの理解が重要なカギを握っていることが分かります。

実家の協力も含めて、子どもは社会がみんなで育てるものという発想で

子どもがいる場合はもっと大変なのではないかと思うかも知れませんが、JAL では最長で 3 年両立支援制度を取得できますし、深夜業務を免除する制度などがあるので、物理的にはそれほど大変ではありません。フライトの前に子どもを保育所に預けて、戻ってきたら迎えに行くという生活を送っている現役 CA もいます。

ここでもうひとつのカギを握るのが、実家の存在です。パートナーがいくら理解を示してくれたとしても専業主夫でない限りは子どもの送り迎えなどにも限界があります。そこで実家の親や姉妹などに手伝ってもらえるようにすれば、より生活の流れがスムーズになります。CA は乗務パターンによっては数日後にならないと戻らないようなこともあるので、身内の家に子どもが滞在するといった場合もあります。そんな時には身内の存在が頼もしいので、無理をお願いしたあとは埋め合わせをするなど良好な関係を保って「子どもは社会がみんなで育てるもの」の精神で臨みましょう。

身の回りの人を大切に、全員が協力者だと思うこと

パートナーや身内だけではありません。ANA では在籍する CA およそ 8,000 人のうち、3 割が既婚者。さらに 4 人に 1 人にあたる 1,800 人がママさん CA(2018 年 1 月現在)なのです。

「ライフキャリアサポートチーム」という部署ではベテラン CA が 3 人常駐していて仕事や育児に悩む現役 CA のカウンセリングにあたっています。このサポートチーム主催の交流会などで家族ぐるみの付き合いが生まれているそうです。

またママ友などの友人関係も子育ての強力な味方になるので、こうした身の回りの人たちとの関係づくりも大切です。CA の仕事の大変さを伝えてもピンとこない人もいるので、CA である前に一人の母親として、女性として、身の回りの人たちと接して味方になってもらうことで、子どもの学校行事などのピンチを切り抜けましょう。

自分にできないことを補ってくれる人がどれだけいるか、それが CA の仕事と家庭を両立する最大の秘訣です。